【紙 & ロボット】未来を変える教育ロボット

プロフィール


文 基碩 (Kee Seok Moon)
株式会社3.14 最高技術責任者(CTO)
釜山大学校 化学工学を卒業後に、LG半導体に入社。
ソフトウェアの可能性に感化し、
日本のIT会社でソフトウェア開発に従事。
韓国に帰国後、Apptronics代表の傍ら、株式会社3.14のCTOを務める。
オープンソースを用いた開発を得意とする。
HP: http://www.kamibot.com

莊司 雅通 (Masayuki Shoji)
ロジックススクエア株式会社 代表取締役
東京農工大学 電子情報工学を卒業後にアルプス電気に入社。
IT会社に転職し、上流設計やシステム構築に磨きをかける。
2007年にロジックススクエア株式会社を設立。
いつまでたってもモノ作りが大好き。
HP: http://www.logixsquare.com/

Kamibot(カミボット)の誕生

2014年当時、3.14社で働いている文氏は、
韓国でスマホのアプリ開発を行っていた。
韓国でも、アプリ開発は製作する会社が多く、
差別化が必要となっていた。

そこで文氏はスマホ上で家電などを操作するアプリ、
今で言う“IoT”の製品を開発したいと考えていた。

文氏はアプリ開発を行いながら、
講師として大学生・社会人向けのプログラミング講習も行っていた。
そんな時、子供達に教える機会があった。

今まで子供にプログラミングを教えることがなかった為、
既存の教材を使い子供達に教えた。
授業を行った文氏は、大学生と同じやり方では子供達には難しすぎて
反応が良くなかったことに衝撃を受けた。
「これではダメだ!子供に教えやすいプログラミングキットを創ろう!」
子供用のプログラミングキットを創る決意をした文氏は、
会社に戻ってすぐに同僚に話し、案を考えたという。

「子供はどんなことに興味を持つのだろ・・・。」
大人とは異なり、構築するプロセスを省き、
結果がすぐに確認出来る完成品を作る必要があるのではと考えた。
その中で、何度も試行錯誤して辿り着いたのが子供が興味を持つ「ロボット」であった。

その後ロボットを使用してどのような内容の教材にするかを落とし込んだ。
大学生・社会人向けには、Arduinoの環境構築から始め環境が整ったのち、プログラミングが出来る講習。
小学校高学年、中学生向けには、Arduinoの簡単なモジュール形式のキットを使って講習。
小学校低学年向けには、完成したロボットを使って講習。
といったように少しずつレベルを変えて子供向けに適した教材を考えていった。

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次の課題として
子供は音が出たり、動く物が好きだが、
飽きてすぐ新しい物に飛びつく習性がある。

文氏はチームで話し合い、
子供が興味をもってロボットを継続的に使うことが出来る策を練った。
子供はキャラクターに名前をつけたり、ストーリーをつくって遊ぶ。
自分で着せ替えられるキャラクターを自分で描いたりすることも好む。
そこでプログラミングを学ぶことで自分好みのキャラクターが動く、
そんな仕様にした。

それが今回日本で販売されたKamibotである。

 

子供に伝える難しさ

文字が読めない子供がプログラミングする為にはどうしたらよいのかという課題も浮上した。
それについては、絵を使って教えることにしたが、その後が問題であった。
絵はどこの国であっても理解してもらえるが、
「この絵で理解出来るか?」という点である。

実際テストを行ってみると、
角度、左右といったものを表現した絵が、その概念を子供が持っていなかった為、
伝わらないという事象が発生した。

確かに、私も5歳の姪っ子と遊ぶ際に言葉1つであっても、
知っているだろうという気持ちで話してしまうことがあり、
「それって何?」と質問をされて初めて知らない概念、言葉だということに気付くのだ。

この時、
「Kamibotをつくる大人の認識 ≠ Kamibotを使う子供たちの認識」
であると文氏は改めて実感した。

そのテストを行ってから文氏はあらゆる面から考えるよう心掛けて取り組むことを再度意識した。
・180度は分かるのかな?
・矢印だけで角度を理解してもらえる? etc。。。

そうした試行錯誤を繰り返し、絵を使ったカードを並べてプログラミングするKamiCardアプリや
ScratchをベースとしたKamiBlockアプリを開発したのだった。

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日本での販売へ

Kamibotは韓国で開発し販売を行ったのち、
アメリカ・ヨーロッパでも販売した。

ヨーロッパの中でもイギリス・エストニアでは
コーディング、プログラミングの教育が進んでいるという。
韓国では2018年から小学生のプログラミングの科目が始まり、
日本も2020年から教育課程に組み込まれるようになる。

これを聞き「それなら日本でもKamibotを活かさないと!!」と
日本での販売を文氏は密かに決意したという。
同時に「荘司氏に販売をしてもらおう!」とも考えた。

文氏からのタスキ

荘司氏は文氏から熱のある話を聞き、
文氏の思いを受け取って販売をすることを決めた。

Kamibotの説明を文氏から受けた時、荘司氏はKamibotを「いいな。」と思った。
構造がシンプルだったからだ。
ロボットの学習キットで多いのは、
先ずはロボットを組み立てる事を楽しむということに重きを置いている。

しかし、組み立てるだけで時間がかかる為、
プログラミングを行うまでに多くの時間や工数を取られてしまう。
電源を入れたらすぐに動くKamibotはプログラミング授業がすぐに出来るのだ。
荘司氏はKamibotを優れた製品と認めたから、
何より信頼している文氏が開発したものであるからこそ協力し販売することを決めたのだ。
(荘司氏と文氏との出会いは後述)

子供に伝わる言葉・表現

Kamibotはマルチ言語対応を行って行くことにした為、
荘司氏はKamibotの日本語化対応にも携わった。
そこでも苦労はあった

日本語には“ひらがな・カタカナ・漢字”があるが、どれを使うのが良いか?
文言は直訳でいいのか?
例えば、
「ターンバック=反転」が幼稚園児にも伝わるのだろうか。
そういった言葉のチョイスが難しかったという。
その他、勉強でなく遊びながら友達とプログラミング学習が出来るように
KamiCardを作ったり工夫もした。

また、荘司氏は販売する際に“正確な情報を伝える”ということを大切にしていた。
製品の性質上、出来ること出来ないことをしっかり購入者に伝えるのだ。

製作者がどんな思いで創ったかを理解したうえで
お客様には正しい情報を提供する必要がある。
それらを行うことで、お客様の信頼が変わり、
マーケティングの際の印象も変わってくることを意識していた。

二人の出会い

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文氏と荘司氏がこれほどまでにうまく連携を取り、
Kamibotを日本で販売する事ができたのか、二人の出会いを話そう。

文氏は大学時代に科学の勉強を行っていた。
そこで学んだ科学の知識を活かし、半導体の会社に就職した。
文氏のプログラミング人生はここがスタート地点となる。

それは文氏が入社してからのことだ。
新人社員の中から数人の人がプログラミングを行う要員に選ばれたことがきっかけだった。
そこで文氏は初めてプログラミングを経験し、
“プログラミングの楽しさ”を知ったという。

本格的にプログラミングを行ったのは日本に来てからだった。
インターネット系の会社でSEとして働き、力をつけていった。
その会社でのある人物との出会いが文氏にとって人生を変える転機だったのだ。
その人物が、荘司氏だ。

荘司氏は、小さいころからコンピューターが好きな少年だった。
コンピューターが好きになったのは親友の家が電気屋さんでよく遊びに行っており、
そこでコンピューターを触る機会があり、どんどんはまっていったそうだ。
高校、大学もコンピューター系の学校に通い、
ソフトウェアに携わる道を進んでいった。
その後インターネット関連の会社でSEとして活躍し、文氏に出会うことになった。

たまたま同じ会社に転職をした文氏と荘司氏はそこで出会った。
文氏は当時日本語がまだ苦手でうまく話せなかった。

当時は職場の上司とは英語で会話をすることが多く、
テレビを見ながら日本語を徐々に覚えていった。
日本語のドラマをみて分からない言葉は次の日に荘司氏に教えてもらい、
一つずつ覚えていったという。
そのような付き合いから始まり、二人は食事に行ったり、BBQをしたり、
一緒の最寄り駅に住んだりして友人としても信頼関係を築いていった。

こんなやり取りでも二人の信頼関係の構築を感じられた。
それは二人の息抜きの仕方について聞いた時だった。

文 氏:
「息抜きは、本屋に行くことですね。
そこでいろんな情報をみてアイデアを得てます。
3.14社の社員全員で本屋にいくこともある。
そこでKamibotの教育カリキュラムを作ったりもする。」

荘司氏:
「そういえば一緒に良く図書館に連れて行かれたなぁ。
国会図書館にも二人で行ったよね。」

にこやかに二人が話しているのを見て、お互いが信頼し合っていることや、
波長が合っているのをインタビューを通して感じることが出来た。

二人の将来の展望

文 氏:
「Kamibotは、ワールドワイドで展開していくが、
その中の日本市場に関しては荘司氏に任せています。
そこで何か行っていくことがあれば、協力的に3.14社でサポートしていきます。」

荘司氏:
「日本では小学生がプログラミング教育を受けるのが2020年である。
しかし、韓国は日本より2年早い2018年にスタートする。
そこで韓国市場ではプログラミング教育がどうだったのかの情報を得て、
日本のお客様にフィードバックしていきたいと考えています。

それ以外で考えていることは、高齢者の生涯学習にKamibotを使いたいと考えています。
年配の方もKamibotのペーパークラフトのデザインを自分で書いたりして楽しんだり、
子供達にKamibotを見せて、教えてあげたり出来る土壌があるのではと考えています。
そしてこのスタイルを基盤にして海外に逆輸入し、
ビジネスモデルとして世界中に高齢者が使う仕組みを展開していきたいと考えています。」

「いつか製品を一緒に作りたいね。」ということから始まった文氏と荘司氏。
互いに別の道を歩んでいたが、現在二人の夢のスタート地点にいる。

ここから二人の夢がゴールに向かってKamibotと共にどんどん膨らんでいくであろう。
私もその夢のゴールを楽しみにしている。

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