プロフィール

Kiluck / 機楽株式会社 (http://www.kiluck.co.jp)
代表取締役 石渡昌太

石川工業高等専門学校機械工学科卒業後、電気通信大学へ編入。
学生時代にはNHKの高専ロボコン、大学ロボコンなどに出場。
超音波センサの情報処理をテーマに研究。
大学院進学後の夏休みからインターンとして働き始め、
食品卸、人材紹介、ロボット開発などの会社やフリーランスの経験を経て、
2011年に現在の「機楽株式会社」を設立し、現在に至る。

実績
脳波で動くしっぽ “shippo”
きゅーちゃんロボット
TEAMLAB BALL
脳波で動く猫耳“nekcomimi”

機楽株式会社のコンセプトは“気楽に楽しく”“機械を創る”

この記事を読み終えた頃には、皆さんは“気楽に楽しくロボット創り”に
興味を持つことになるだろう。

話題のクラウドファンディングの先駆け

ラピロはクラウドファンディングを起点として立ち上げたプロジェクトより生まれた。

当時、国内からクラウドファンディングのサービスを利用する人はまだ少なく、
成功した人も数多くはいなかった。
石渡氏はそこにチャンスを感じ、クラウドファンディングのプロジェクトをスタートした。
クラウドファンディングの出資層は、お金に余裕のある落ち着いた年齢の男性が多かった。
成功する為の一要因として、出資ユーザー層の傾向に合った商品である必要があったのだ。
それがロボットであった。

石渡氏の挑戦

石渡氏は、アメリカが拠点であるクラウドファンディングを利用した。

そのクラウドファンディングに出品するロボット企画は沢山あったが、アメリカで表現されるロボットは、人間型ではないことがほとんどであった。
具体的には、四角であったり、蜘蛛のように足が多いものであったり、“安定”という観点で作られたロボットばかりで、ある意味見た目にこだわっていないロボットが多かったという。

日本の場合、鉄腕アトムやガンダムのような人間型ロボットが代名詞となっているが、そのような人間型ロボットや、ロボットを1から自分で組み立てる工作キットロボットといった試作品も無かった。
また、クラウドファンディングの利用者は、自分の興味がある分野にとことんこだわった商品だったり、自分で製作することが好きな出資者が多かった事を石渡氏は独自の調査で情報を集めていた。

その為、アメリカでは主流でない人間型ロボット、つまり“自分で作るヒューマニズムロボットの工作キット”を石渡氏は製作することにした。

ラピロでの戦略

ラピロは機械の知識がある人をターゲット層とした。
理由としては、出品後の様々なリスクの軽減も考えられたからである。
「自分で製作しましょう!」というスタンスにすることで、機械にある程度の知識を持っている人が購入する事になる為、中身のソフトウェアが基本的なものだけで良い。
しかし、機械の知識が少ない一般向けであれば、より多くのソフトウェアをプラスして製作しなければならないという点があった。
それらを考慮すると、ベストな戦略だった。

また当時日本では週刊で販売される雑誌に部品が付属されており、その部品を使用して自分で組み立てていくロボットが流行っていた。
週刊で雑誌を購入する単価は低いが、最後の部品を購入するまでに約15万円以上の高額の金額を支払うことになる。
そのようなDIYロボットブームを感じた石渡氏は、
購入者に金銭面で負担がかからないよう、誰でもロボット作りに挑戦する事が出来る低価格で販売出来るようにした。

石渡氏が、自作で作る工作ロボットのニーズを見つけたからこそ、ラピロは成功し、現在までに3,000台以上の販売実績を残している。

ラピロの個性

ロボットの購入者は、自分たちがイメージするロボットからかけ離れると、
逆に受け入れられない傾向があった。
また、組み立てるという点で、プラモデルが好きな人に好かれるようなデザインにしたという。

外装も購入者が好きな色を装飾することが出来る。
デザインにこだわる人はラピロの組立前に色付けを行い、デコレーションをするという。
他には、季節のイベントに合わせてクリスマス仕様にアレンジしたり、自分好みにする方が多いという。
女性だとラインストーンをつけ、可愛くしている。

組み立てたら、さあ!プログラミングだ!

基本の動きはプログラミングされている9つのモーションがある。
公開もされているが、手を振る、前後左右の移動などをベースに購入者たちが動きのベースからプラスのプログラミングが出来るようになっている。
目の色もLEDの変更をプログラミングで設定出来るのだ。
また、ラピロの内部にもスピーカーなどをセットしたり、購入者が行いたい様に作業出来るようになっている。
まさにラピロは、購入された方が楽しめるロボットだ。

例えば・・・
・ラピロの目の部分にLEDマトリックスを2個搭載して、様々な表情をだす
・ラピロの額にカメラを搭載し、不審な動きをしている人がいないか警備する警備ロボット
・ラピロにプログラミングし、ダンスを踊らせる
・WiiやPlayStationのコントローラーの操作で動くようにプログラミングする

購入者が“気楽に楽しく”“機械を創る”ことを実践しているのだ!!

ラピロが作った道

石渡氏が購入者に望む一番のポイントは「ラピロを買ってよかったな。」と思ってもらうことだ。
そして楽しみながらロボットを作ることも大切だが、自身の勉強に役立ててもらいたいという。

石渡氏はラピロが海外で売れたことが一番嬉しかったという。
購入者の声はなかなか直接聞くことは難しいが、ブログやYouTubeで「ラピロは素晴らしい“自分で作るヒューマニズムロボット”だ!買って良かったよ!」
と伝えてくれる情報を見て、笑みをこぼすという。

今後、さらに体制を整えより大きなプロジェクトを行えるようにしていきたいと石渡氏は考えている。
それはラピロのプロジェクトではなく、ラピロで学んだことを活かし、異なるプロジェクトで行っていきたいという。
ラピロのプロジェクトで人材・資金・物流であったり、日本の市場においてビジネスモデルが成功している。
そのビジネスモデルを海外へ持って行くための準備を行い、次のステップであるプロジェクトを行う予定である。

石渡氏が開発した商品は様々なものがあるが、
ラピロが石渡氏の計画のスタートとなっているかもしれない。
ラピロの様な“自分で作るヒューマニズムロボット”だけではなく
石渡氏が考える“気楽に楽しみながらロボットを製作”を実際に行う人々が今後も世界中に増えていくだろう。