【ニューロ×ロボット】最適化されたゴールより、そのプロセスに価値が見出される時代

プロフィール


東北大学大学院工学研究科ロボティクス専攻
教授 林部 充宏

2001年 東京慈恵会医科大学 医学部 助手(現助教)
2005年 東京大学 工学系研究科 産業機械工学専攻 工学博士
2007年 フランス国立情報学研究所(INRIA) 博士研究員
2008年 フランス国立情報学研究所およびモンペリエ大学
  常勤研究員(CR2セカンドクラス)
2012年 フランス国立情報学研究所およびモンペリエ大学
 常勤研究員(CR1ファーストクラス)
2015年 モンペリエ大学 Habilitation(教授資格)
2016年8-10月 スイス連邦工科大学ローザンヌ校 客員研究員
2017年 東北大学大学院 工学研究科 教授
    (医工学研究科 兼任)

ロボティクスと脳神経科学との融合“ニューロロボティクス”

日本でも数少ないニューロロボティクスの研究者である林部氏。
現在、人間とロボット双方向の視点から研究を行っている。
主な研究テーマは、人間の運動をロボット動作の制御に反映させる研究と、ロボットの制御理論を人間のリハビリに活かす研究である。

ちなみにニューロロボティクスとは、神経科学、脳科学、人工知能、ロボティクスを合わせた学際的な研究領域を指す。
近年、工学的な観点からは脳神経系の応用が期待され、理学、科学的観点からはロボットを用いた脳神経系のメカニズムの解明が期待されている。

林部氏「サービス用ロボットは年々進化し、人間に近い動きが出来るようになりました。
しかし、多くのロボットは未知の物理的環境に遭遇すると、人間のように臨機応変な対応が取れず、まともに歩く事すらできません。

このようなロボットの環境適応の課題を解決するため、ニューロロボティクスの一つのテーマとして、人間の生物的な運動制御を研究し、人間の脳の使い方や神経の仕組みを調べ、ロボット制御に活用し、実用化することを目指しています。」

人間が無意識に“楽をする行動”が、ロボットのエネルギー効率を向上させる!

サービス用ロボットの2つ目の課題として、エネルギー効率の低さだと語る林部氏。
確かに市場に出ているサービス用ロボットの多くは、稼働時間に制約があり長時間稼働し続けることが難しい。
その大きな要因として、バッテリー性能とロボットのエネルギー効率の低さが上げられる。

林部氏「現在、エンターテイメント的な位置づけのサービス用ロボットはありますが、本当の意味で人間の代わりとなり、役に立つロボットになるためには、ロボットのエネルギー効率を高める必要があります。
そのために、エネルギー効率が高い人間の運動を参考にすることで、最適化を図りたいと考えています。

例えば、私たち人間がスーパーで買い物をする際、買物カゴを腕に掛けると腕が上向きになっています。
やがて、買物カゴに商品が入り重くなってくると、腕が下がってくる。
このように、人間はエネルギーを効率的に活用するために、余計なエネルギーを使わず、疲れない体勢を無意識に見つけて動いているのです。」

人間とロボットの違いは、考えなくても歩く事ができること

林部氏「人間の無駄の少ない動きを、ロボットができるようすることが私の研究テーマの1つです。
例えば、日本のロボットの代名詞であるアシモは、人と同じように歩いているように見えますが、実は大きな違いがあります。
何が違うのかというと、人間は骨の上に体重を乗せて歩きますが、ロボットは制御的安定化のため膝を曲げて歩きます。
もし、私たちがロボットのように筋肉の力で膝を曲げて歩いたとしたら、足腰の筋肉がすごく疲れてしまい、歩き続けることができません。
現在のロボットの多くには、このようなエネルギー効率が低い制御が使われています。


(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Honda_ASIMO_Walking_Stairs.JPG?uselang=ja)

そして、人間とロボットの歩行の一番の違いは、人間は考えなくても歩くことができるということです。
人が歩く時、実は脳ではなく、脊髄が自動的に歩く指令を出しているのです。
脊髄には歩行の荒いパターンが入っていて、何も考えなくてもちゃんと歩けるようになっているのです。
だから、スマホを見ながらでも、人は道を歩けるのです。


【YouTube:除脳猫動画】

この動画は、全ての行動を脳が考えてやっているわけではないことを証明しています。
動画の猫は除脳猫といって、脳と脊髄の間の神経が繋がっていません。
脳と脊髄が繋がっていなくても、脊髄から歩くパターンの信号が出ているので歩くことができます。
歩くスピードの調整くらいは出来きますが、障害物を避けたりするような、考えて判断することは出来ない。

動く原理は、医学的には脊髄回路に大雑把なパターンが入っており、足の触覚からくる信号を元に回路のオンとオフを切り替えて歩きます。
力学的には、人間の足は振り子みたいになっているため、重力に従って揺れる動きをうまく使っているのです。

ちなみに、この除脳猫は脳ではなく、脊髄のみでローラーの回転速度に合わせて歩いています。
人間の歩行も足を動かすと筋肉の中にセンサーが入っているので、自分の足の位置が脊髄に情報が伝わって、反射的に足が動きます。
そのため凸凹があっても、別のことを考えていても転ばない。
脳を使う前に反射があり、反射だけでも歩くことができるし、バランス崩しても転ばずにすむようになっているのです。
この様な仕組みをロボットの制御理論に取り込むことも、ニューロロボティクス研究の役割となります。」

人間の受動性をロボット制御へ活かす‘柔らかい関節ロボット’

現在、林部氏はロボットのエネルギー効率を向上させるために、“柔らかい関節ロボットの制御”の研究開発を進めている。
通常ロボットは、関節にあるサーボモータを動かし、指定の角度に固定して動作を制御する。
しかし、この“柔らかい関節ロボット”は、関節の一部を固定しないことで、エネルギー効率を向上させるというロボット制御の方式を採用している。
この発想の原点には、人のエネルギー効率の高い運動から学ぶという、ニューロロボティクスの思想がある。


【YouTube:柔らかい関節ロボットの動画】

林部氏「上記のロボットの腕には二つの関節があります。
この腕は二つの関節を動かしているように見えますが、実は動かしているのは下の関節だけなのです。
動作は人間の肩と肘をイメージして作りましたので、肩の力を抜くと、肘を動かすだけで肩は動きます。
原理は、“柔らかい関節ロボット”のパッシブ(受動的)に動く動作にあります。
ロボットのサーボモータの動力は入っていますが、制御で柔らかくしています。
人間で例えると筋肉はあるけど力を入れず、リラックスしている状態です。

現在のロボットの多くは、サーボモータにより関節を硬く制御にしているため、握手をすると硬さを感じると思います。
そして、ロボットはその姿勢を維持するために、無駄なエネルギーを消費しています。
しかし、“柔らかい制御”を使うと、人間みたいに動けるため、エネルギーの効率も向上します。

この“柔らかい関節ロボット”の目標は、計算だけで人間のようにロボットを動かすことです。
人間の動きはシナジェティック(協調的)と言われ、例えば肩を曲げると肘も連動して動くといった作用です。
人間のシナジェティックな動きを、制御理論としてどのように構築するかがこのロボットの課題です。
解決するために、ロボットの腕を最小限の力で動かして、運動時のトルクのデータを学習させていくことで、人のような動きに近づけることがでるようになります。

ロボットにこの学習をさせた結果、ロボットに重たい物を渡すと手首は下がり、軽い物を渡すと手首の位置は変わらないという、人間と同じ動作をするようになりました。ロボットには物が重いか軽いか何も言わずにただ持っているだけなのですが、人間のように“楽“をするのです。
そして、ロボットが自律的にエネルギー消費を最小化する、楽な関節の使い方ができるようになりました。

この“柔らかい関節ロボット”は、可動性と受動性を両方持っていますので、エネルギー効率以外にも様々なメリットがあります。
一例としては、ドアを開ける行為です。

私たち人間がドアを開けることは簡単ですが、一般的なロボットは関節が硬い制御になっており、ドアの種類毎に必要軌道を計算して開ける必要があるため、難易度が一気に上がります。
しかし、“柔らかい関節ロボット”ならば、ドアが開かれた方向に関節が柔らかく協調し、ドアに追従して動けるため計算を最小化できるのです。

今後の研究ではシナジェティックに多関節を制御し、環境に合わせて多数の関節を上手く使うことで、ベストな動き方を発見してきたいと考えています。」


【誤差とエネルギーをバランスよく低減化する過程】

ロボット研究の始まりは手術ロボット

林部氏はロボットの研究者としては珍しく、医学部勤務の経歴を持つ。
最初のロボット研究は、東京大学大学院の修士の時に中村仁彦教授の下で関わった手術ロボットだった。

当時造っていた手術ロボットは、有名な手術補助ロボットのダヴィンチと同じ仕組みで、特徴は人の動きのスケールを変換する機能である。
手術ロボットは、医者が操作レバーを10cm動かしたら、ロボットは1cm動く仕組みのため、医者の手が震えそうな細かい手術でも余裕を持ってでき、手が入らない部位の手術も可能にした。

林部氏「医療の現場に早いうちに入ったため、医療の先生が実際の現場で何を必要としているのか、早くから触れられたのは貴重な財産になりました。
修士取得後、医学部の研究所で研究員として働きながら論文を書き、工学博士になりました。東大はすでに卒業していたので再び中村仁彦教授と光石衛教授に多大なるご支援をいただき論文博士で取得しました。

手術ロボットが盛んになった時期でしたので、面白くて研究に没頭していたんですが、ある時ふと思ったんです。ロボットを操作して手術するお医者さんを助けているけど、直接患者さんを助けているわけではないと。
そのまま研究を続けていても良かったのですが、直接的にロボットが人に役立つものを造った方が面白いと思い、その後フランスに行き、リハビリ用の人の体に埋め込む機能的電気刺激装置等を造る研究を10年間やりました。

この研究では、筋肉を電気で刺激すると動くという原理を活用し、脊髄損傷で動かない患者さんの体の中に回路を埋め込み、ケーブルを足の神経につなげ、脊髄の代わりに電気信号を送り、電気信号によって、本人が動きたいように動けることを目指していました。
この時期は医療系とか電気系の先生とチームで仕事をしてまいたので、ロボットそのものというよりはロボットの計算手法や制御手法をうまく筋肉制御やリハビリテーションに使う神経工学研究がメインでした。

この神経工学に関する内容でフランスで一番力を入れていた仕事で昨年末、米国De Luca FoundationよりDelsys Prize for Innovation in Electromyographyを受賞できました。
この賞は、米国De Luca Foundationが主催するEMG(Electromyography)技術のInnovationに関する国際的な賞で、日本人としては初めての受賞でした。
元ボストン大学教授のCarlo De Luca教授は筋電位研究の歴史上パイオニアのような存在ですので大変光栄に感じています。

「Evoked Electromyographically Controlled Electrical Stimulation」が評価されての受賞で、脊髄損傷患者において電気刺激により誘起されたEMG信号を利用して筋肉活動度の直接的制御を可能とした制御技術に関する研究です。
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2017/11/award20171107-01.html

その後、去年東北大学に来て、これまでの神経工学とロボティクスを融合したニューロロボティクスの研究を始めました。
研究室では、先ほどお話した“柔らかい関節ロボット”の他にも、リハビリで人の動きを定量化し、自動で運動バランスを評価しフィードバックすることで運動学習を促す機器を研究しています。
この研究では、ニューロリハビリテーションの患者さんの役に立てるモノを造り、リハビリの現場で使ってもらえるよう、シンプルで使いやすいモノを目指しています。」

ロボット制御理論を人のリハビリに活かすニューロリハビリテーション

林部氏が力を入れているニューロリハビリテーションとは、体の損傷した神経機能の回復を促進することを目的にしたリハビリテーションだ。
特に注目されているのは脳の可塑性で、リハビリをすることで体の障害が生じた部位の働きを補おうと脳が変化し、機能が改善することが実証されている。

林部氏「ニューロリハビリテーション分野の研究では、ロボットのバランス制御の計算方法を、人の動きに使うことで、その人の今のバランス状態を推定し、定量的に人の動きを評価することを目指しています。

現在の日本のリハビリ環境は動きが定量化されておらず、理学療法士が一人ついて“なんとなくこの間よりいいですね”といった感じの評価をしています。
優秀な理学療法士なら、患者さんの前回との比較で微妙な変化に気づくことが出来るかもしれませんが、普通の人であれば一ヶ月後には忘れてしまいます。
そのため、施術者の方が「良くなっていますね」と言っているが、実際は悪化しているということもありうるのです。

今後、日本では高齢者が増加し、リハビリをする患者さんも増えるため、一人の施術者の方が大勢の患者さんを同時にリハビリする時代が到来します。
その中で、リハビリ品質を維持するためにはカラオケみたいに、自動採点できる仕組みが必要になってきます。
採点できることで、施術者の方が患者さんの症状を忘れても、数値を見れば一ヶ月前より良くなっているかどうかが、正確に伝えられるようになります。
また、一人の施術者の方が患者さん1人ではなく、同時に5人リハビリすることも可能になるかもしれません。

現在、開発中のリハビリシステムでは、患者さんがトレーニングの動きを何回やったか自動判別し、どういう動きをどのくらいの速さでやったのかをデータとして取得できます。
そのため、これまでのように回数だけの運動量の評価だけではなく、回数とスピードから運動の質の評価を定量化できるようになります。」


【YouTube:足圧力計測に依存しないバランス推定の動画(黄緑が安定、不安的になると度合い応じて赤化する)】

壁はゴールに導くプロセスの解明

人間の運動制御に関しては、古くから知られるベルンシュタイン問題がある。
これは筋骨格系の自由度の冗長性の解決問題としての不良設定問題で、ベルンシュタインは、人間の運動はいくつかの筋群の間にシナジーが存在することで、自由度を減らして問題を解決していると言っている。
これらの理論を元に、林部氏は計算論的神経科学の視点から、評価関数を最小にし、最適化するリハビリの運動学習プロセスをシミュレーションするための制御理論を研究している。
ただし、数学的最適化計算は用いないで最適にする方法が必要です。人間では幼児などでもうまく多関節を最適につかっていますが、その実際のプロセスでは数学的最適化など複雑な計算は用いていないはずです。

林部氏「ニューロリハビリテーションの精度を向上させるためには、人間の運動エネルギーや動きを計測し、定量化することが必要となります。
しかし、人間はロボットと違って、運動エネルギーや動きを計測するのは難しい。
この課題を解決するために、ロボットを使った運動実験をし、定量的に評価した最適な動きを見つけ出す研究をしています。


【人間らしく運動学習するSynergetic Learning Control】

【YouTube:Synergetic Learning Controlを用いた脳波による多関節制御】

大変だったのは、ロボットを学習させるために運動学習アルゴリズムを入れ、学習過程のプロセスを抽出することでした。
数学的な最適化計算などをすれば答えは出るのですが、リハビリの場合は答えとなる最適なゴールが分かったとしても、プロセスが表現できなければ意味がありません。

最近の研究で運動学習アルゴリズムでタスクの誤差とエネルギー効率をバランスよく低減化する過程を計算できることがわかってきました。楽にやろうとするのが人間らしいところです。
そうすると結果として関節の使い方にシナジーがでてくる結果となりました。運動目標が課題である腕のリーチング運動で実際にロボットで検証し、Synergetic Learning Controlとして最近発表しました。

リハビリの場合は、患者さんの障がいの状況によっても、リハビリのスタート地点が変わるため、ゴールへのプロセスは変わってきます。
ゴールは皆同じだがスタート地点はそれぞれ違うので、ゴールに行くプロセスも人により異なります。
この研究では、スタートからゴールまでのプロセスを見つけ出すことが最大の壁となります。

この壁を超えるため、更に研究を進めています。
現在の課題はロボットと人の腕では、形状がそもそも違うため、収集したデータに誤差が出ることです。
ロボットと人の違いを埋めるため、ロボットの形状を人間の骨や筋肉に近づけることで、この誤差を埋める必要があります。
その課題を解決するため、現在多くの定量データを集め、改善を進めています。

将来構想としては、筋肉の繊維までデータ化し、筋肉モデルを作り、人体をロボットやシステムで実現したいと考えています。
そのために現在、人間の筋肉の情報を元に、ロボットのモデリング技術を使って、人の運動を解明する研究も行っています。
そして最終的には、先ほどお話したリハビリプロセスの精度を向上させ、ユーザ毎の状態を正確に把握して、リハビリが出来るモノを世の中に提供していきたいと考えています。」


【筋肉の機能、生理、変形を再現するボリュームモデルが筋電位により活性化され変形する様子】

【YouTube:筋肉ボリュームモデルを用いた筋繊維構造の差異による内力分布解析】

人のためのロボティクスの時代

ニューロボティクスの研究は、人間とロボットそれぞれ良さを分ち合う研究でもある。
人とロボット両方のレベルを上げていくことで、より良いモノを生み出し、人の役に立てることが大切だと考えている林部氏の夢について話をしてくれた。

林部氏「私の研究のコンセプトは“人間から学びロボットを良くし、ロボットで使える技術を人に役立てる”。
そして夢は、人間のように動くロボットを造ることです。
それは、人間のように環境適応ができ、“楽な運動”で長時間動ける、エネルギーの効率が高いロボットです。
そして、まずはリハビリの世界で本当に患者さんに貢献できるロボット実現したい。

今あるサービス用ロボットは、エンターテイメント的なパフォーマンスをするという点はいいのですが、エネルギー効率が低いため長時間動けず、見て面白いというレベルで終わっています。
しかし、エネルギーの効率が高いロボットが実現できれば、本当の意味でサービス用ロボットが人の役に立つ世界が生まれます。

しかし、日本の社会では工業用ロボットのように、タスクを正確に実施するのがロボットというイメージが強いため、私が考えている人のようなロボットの話しは、伝わりづらく苦労することもあります。楽するために正確性を犠牲にすることもあるからです。
医学系やロボット学系の学会誌にも論文を出すのですが、ロボット学系の方の査読では、ロボットの精度やパフォーマンスだけしか見られていないように感じます。

しかし、時代は刻一刻と変化し続けています。
これまでは、ロボットのためのロボティクスという時代でした。
これからは、人のためのロボティクスをやる時代になると確信しています。

メッセージ ~ 環境を変えることで人は成長する ~

ロボットに携わりたいなら、本気で興味を持つことです。
受身ではなく、自らが本当にやりたいことを見つけることが大切です。

現代は便利な情報検索ツールがあり、ネットで調べれば大抵の事は直ぐに分かります。
でも、それって結構諸刃の剣だと感じています。
答えが直ぐに見つかるので、興味を持ち続けるモチベーションが保てなくなってしまう。

昔は自分で調べるしかなかったから、答えを見つけた時の喜びも大きく、それがモチベーションに繋がっていたと思います。
とはいっても、情報化社会ですので、逆戻りはできません。
なので、スポーツ選手のように、自分をコントロールして、やる気を維持して努力できることが大切な時代だと感じています。

やる気を持続させるためには、自分が興味を持てる環境に身を置くということです。
そして、他分野の内容や学際性が必要とされたら環境を変えてみる。
環境を変えると、なんとかしなくちゃいけない状況に追い込まれるので、そのほうが楽なんです。

本来、人間には適応能力があるから、同じ場所に留まらないで、環境を変えたほうがいい。急がば回れですね。
もちろんリスクもありますが、私は工学から医学に行ったり、海外行ったり、環境変えることで成長することが出来ました。
人間には、本来そういう能力が備わっているのだと思います。ただころころ環境を変えるという意味ではなく、ある程度長い時間もまれる持続性も大事です。医学部には6年いましたし、フランスには10年いました。

皆さんに伝えたいことは“長期的に物事を見てほしい”ということです。

最近の学生はどこか楽をして卒業しようと考えている人が多い印象があります。
だけど楽なのはその時だけではないでしょうか。ある意味楽するのは人間らしい特徴なのですが、長期的に厳しい世の中を生き抜くという宿命も幸か不幸かあります。長期的な得や楽を考えたら、どういう選択や環境が自分のためになるのか。
今ではなく、もう少し先の未来を見て考えてください。

最後に、あなたなりの哲学を持って欲しい。
私が滞在していたフランスでは、物事を客観的に見て考えるために、哲学の授業が義務教育課程で必修です。
小さいころから、哲学に触れているフランス人は、日常的に哲学をしている。
何のために生きるのか?といった哲学的な思想が、現在の日本人には必要なのかもしれません。もちろん答えはひとそれぞれです。ゴールはひとつではありません。多様な価値観がある時代です。ただなんとなくではなく、深く考えること自体のプロセスにきっと意味があるのかもしれません。


林部研究室(Neuro-Robotics Lab):http://neuro.mech.tohoku.ac.jp/

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紹介 さくまみさき

楽しく、驚く記事であり、製作者の言葉が、一人でも多くの人の頭の片隅に残るような記事を書いていきます。

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