プロフィール

株式会社Doog 代表取締役

大島 章 (AKIRA OSHIMA)

北海道出身
複数の学科を有する高校の工業クラスを卒業
2009年に筑波大学システム情報工学研究科を修了後し、日立製作所に入社。
2012年に株式会社Doog(以下Doog)を設立。
「道具として役立つ移動ロボットで人々を笑顔に

起業までの道

大島氏は高校時代からロボットについて興味を持ち、北海道の高校でロボットの部活動や授業に参加したのがロボットに取り組む最初の1歩となった。

そこでは、黒い床に白い線の上を走るライントレースに出会うこととなった。同じ学校でロボットの製作を行っていた先輩が筑波大学に入学したことをきっかけに大島氏も筑波大学でロボットの研究に携わりたいと思い、筑波大学に進学。

筑波大学に入学してからは伝統があり在籍人数も多いことが特長である知能ロボット研究室に入り、指導者である油田信一教授には現在も技術顧問として深くお世話になっている。

大学はロボコンの授業やロボットサークルがある環境に恵まれたことで、大島氏はロボットの技術を学び、深い知識を身につけることが出来た。

具体的には、大島氏の研究テーマは画像処理による移動ロボットのナビゲーションであり、大島氏が取り組むロボットの共通点は、センサーが周囲の情報を集め、ソフトウェアによって状況を判断し、車輪を使って移動して、さらに次の行動を考えて動くという自律移動ロボットというジャンルである。

大学卒業後は、日立研究所(以前は機械研究所)に所属し、現在の共同経営メンバである2人の筑波大学出身の同期と共に働いていた。日立研究所では、移動ロボットの技術を活かして、物流のロボットや未来の乗り物をイメージした街中で一人乗りタクシーの開発を行い様々な経験を積むことが出来た。

Doogのスタート

大島氏が大手企業で働いてみて分かったこと。

それは、今はまだ小さい市場を自分のやり方で開拓し、お客様のニーズに合わせて新しいロボットを創り出すことで市場を拡大する、それに自ら挑戦したいということである。

大手企業では様々な側面で余裕があるため技術開発はし易い。しかし、20年先の社会のために技術開発を行い、そのロボット技術を既にある製品に対して適用することが多く、大島氏のやりたいこととは異なった。
そこで、自分で会社を起業することにした。

2012年に、株式会社Doogが誕生。
設立当初、まずは技術力を評価してもらうという側面を意識していた。
Doogの製品コンセプトは今でも変わらず「現場で簡単に使える便利な道具を作る」である。
そこで、まずは安全面を重視して、商品にしやすい「小さいもの」を開発した。
なぜならば大型ロボットは開発費だけでなく安全上のリスクも高く、小型なロボットで技術力を評価してもらうことで様々な道が模索できると考えた為である。

周囲に目を向けると、日本で盛り上がりをみせているサービス業では主に情報サービスとなる案内ロボットが欲しいという現状がある。
しかし、大島氏が得意である自律移動技術の本質は、ヒトやモノを運ぶことにある。
このためDoogでは、案内ロボットやコミュニケーションロボットなどの情報を運ぶサービスには目もくれず、物理サービスを主体として補助することによりフォーカスし、製造・物流・サービスなど幅広いジャンルで活用できる技術の実現を目指すことを決めた。

移動ロボットなら様々なニーズに合わせられるDoogが製作したロボットの歴史を見ると、サイズや機能は様々である。

当初、人の後ろについていくことが出来る「カルガモ隊」というロボットを作り出した。
人の注目を集めることで販促向け移動広告として活用出来るロボットだ。
そして、どこにでも持ち運ぶことができ、電源を入れればすぐに追従していくので開発者が居なくても購入者だけで商品が扱えるものである。

そして、カルガモ隊によって多くの顧客と接することで「さらに大きな物品や人を運べることでもっと役に立つ」という確信を得て、当初からの方針に基づいて、より大きい商品を作ることに決めた。

mobilis

「モビリス」という二人乗りの乗り物はあらゆる人が楽しめるサービスを実現することを目指している。

1人で乗る小型モビリティとは大きく異なり、様々な境遇の人が楽しさを共有できるのが最大の価値である。カップル、小さい子供を連れた親、3世代で出掛けた家族、介助・介護する人とされる人などがユニバーサルに楽しさを感じることの出来る機器である。

観光で長時間歩く時や、空港のような広い場所でも人々が心地良く移動出来、ベンチに座っているような感覚で遠いところまで楽に行ける。

サウザー

追従運搬ロボット「サウザー」というのは、120キロまでの荷物を運ぶことができ、工場での運搬や物流倉庫において現場作業員の助けになる。

広く商品展開している「サウザー」について詳細を大島氏に話してもらった。
「サウザー」は人や台車の後を自動追従して物品を運搬するロボットだ。
また、反射テープのラインを検出して無人走行するといった追加機能もある。
屋外でも使用することが出来て、大掛かりな敷設作業が必要ではない為、2つの機能によって簡単でありながら様々な場面で活用することが出来る。

オリジナルのフレームワークであるDoog Navigation Engineの基本機能として、レーザーセンサによって周囲の状況を見て、近くに壁や人がいるかどうかを判断しながら、適切なルートを選択することが出来る。

いくつものロボットがあるなかで、Doogのロボットが最も高い評価を得るのは”狭い場所でも滑らかで無駄がない動きをして、安全とスピードを両立していること”である。

運搬ロボットの導入検討のために比較検討したお客様は誰もが、それまで見た機器との大きな違いに気づく。
実際に、サウザーを初めて見た方々から歓声が上がることはしばしばある。
それほどに、お客様にとっては実用レベルに達している汎用ロボットは物珍しく、しかも現場の抱える課題にとって重要である。

製作を行っている中で、課題にぶち当たったことはあるのかという問いに大島氏は次のように話した。
Doogは主にソフトウェアを作る会社ではあるが、最終形であるハードウェアの商品として完成させて出荷することも行う。

さらに、その際には保守体制が必要であり、新機能のアップデートに備えて情報の管理が必要になるなど業務が多岐にわたる。
これは、既存のハードウェア市場があって、そこにソフトウェアを売り込む市場環境とは異なります。
Doogがソフトウェアを売り込むためには、まずは自分達が最終形まで仕上げてお客様に売り込んでいくことで市場を作る必要があるためです。
自社のハードウェア商品が市場に受け入れられるのと併せて、他社にソフトウェアを販売する市場も形成され始める流れです。
これによって私たちだけでは作り切れない様々なタイプのロボットを市場に届けることができます。大変だけど楽しいと感じています。

インタビューをしていて感じたことは、若い会社が直面する問題点も様々あるが、Doogはその課題も乗り越えることが出来る会社だろう。

私は「なぜ「サウザー」という名前にしたのか」と質問を大島氏に行った。

「スペックとして定めたサイズ感や可搬重量や移動速度などから連想して大型犬を考えた。また、当初のサウザーには標準品としてリードによる操作機能が付属していたことも合わさり犬みたいだね!という点から、大型犬のジャイアントシュナウザーの名前の一部を使用し、「サウザー」にした。」と語っていた。
(なお、リードによる操作機能は現場により要望が異なるため現在はオプション品である。)

取材班:
追従するところや、可愛くて印象に残るネーミングで面白さを感じます。
シュナウザーという犬は昔から輸送時の家畜の誘導、小さな荷車を引くなど、使役犬として様々な働きをする為、私もその理由を聞いて名前の由来を納得した。

社会のための道具

今後の展望についても大島氏に話してもらった。
現在製造している製品の継続的な出荷や、新しいハードウェア製品の開発や、ソフトウェアシステムだけを他社に販売する等、様々な形態のものを求められてきている。

そして、現在は市場の黎明期にあるが成熟されていくように推し進めていき、数量の増加と価格の低下にも対応できるようにしていくことで、さらに世間に普及させていきたいと考えている。

そして、システム部品を作るということを中核にして幅広く移動ロボット商品群に活用していく。それによって、業種関係なく様々なシーンで使われていることも出来れば良いだろう。
建築や農業で使用されるということも今後可能性として考えられる。

Doogのコンセプトは「道具」のような簡単、便利なロボットを作るということだ。
大島氏は現代の社会を見て、様々な問題を解決する実用的なものを創り出すことが出来るだろう。
人々が楽しめる「モビリス」も、業務の補助になる「サウザー」もこれからの社会で役立ち、移動ロボットで人々を笑顔にしていくだろう。