プロフィール

安齋 聖之(Anzai Takayuki)
役職:ロボットクリエイター

藤枝市役所 案内及び観光名所紹介Pepperアプリ開発
空港向け サービスロボットアプリ開発
渋谷区広尾小学校
ロボットプログラミング教育用アプリ開発、講師担当
伊藤忠食品 イベントアプリ開発
沓間水産 店舗内案内Pepperアプリ開発
ギャラクシティ イベントアプリ開発
静岡大学 文化祭用Pepperアプリ開発
日本トラック協会 イベントアプリ開発
その他 多数

プログラミング教育が必修化になる4年後

「自身の成長が証明」という株式会社アウトソーシングテクノロジー 開発エンジニアの安齋氏。
ロボット事業に関わって1年半ほどの安齋氏の前職は全くの異業種で、
IT業界での仕事は株式会社アウトソーシングテクノロジーに入ってからだという。

1年半ほどの知識や経験でも、安齋氏のようにロボットのアプリ開発ができ、
誰でもロボットを動かす仕組みを作れることを自身の行動を持って示したいとのこと。

安齋氏は1年半ほど前から少しずつNAOとPepperのアプリの開発に携わり、
今ではスマートフォンでロボットを動かせるアプリの開発や、
NAOを利用して「プログラミング教育」も行っている。

2020年に日本全体でプログラミング教育が必須科目になることに目をつけた安齋氏は、
現在、人型ロボット「NAO」を利用して小学3年生を対象にプログラミング授業を行っている。

プログラミング教育の必修化を推進する背景として、WebエンジニアをはじめとするIT人材の不足がある。

経済産業省が発表した、「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、
2020年に36.9万人、2030年には78.9万人のIT人材が不足すると予測されている。

今後もIT関連のビジネスは拡大していくと予想される一方で、
それに対応するIT人材の数が追いつかないと予測される。
この課題は日本だけでなく海外でも予測されており、
アメリカでプログラミング教育の推進を進めるNPO法人のCode.orgの調査によると、
2020年には40万人のプログラマーが足りなくなる。

この「IT人材の不足」の問題を解決する鍵となるのが「ロボット」である。

NAOを利用したプログラミング授業では、難しいプログラムは書かずに論理的思考を学べ、
実際にロボットを動かしたり、会話を楽しんだりできる為、楽しんで学習を行うことができる。

また、ロボットは「人に代わって」働くことができる為、ロボットがプログラム授業を行うことも可能。
多くのやりとりが必要な生徒には人が接し、
少ないやりとりでも学ぶことができる生徒にはロボットが接する。
そうする事で人の負担が減り、「IT人材の不足」だけでなく生産性の向上にも繋がる。

ロボットは「目的」が体に出る

NAOなどのロボットは人とコミュニケーションを取るために人型である。
人型な為にロボットに「人」を感じることができ、ロボットに話をしたり、
触ったりすることで愛らしさや親しみを持つことができる。

10月29日(土)に渋谷区の小学校で安齋氏が行った、
NAOを利用したプログラミング授業に参加した子供たちは、
NAOに向けて「こんにちは」と挨拶をしたり、握手をしたりして、
コミュニケーションを取っていた。

プログラミング授業ではNAOを動作させる為の「コレグラフ」を利用して、
イメージした通りにロボットが動くように子供たちのみでプログラミングをする。

※コレグラフとは
プログラムのコードを記述できなくても
ロボットなどを動かす指示を送ることができるツール

NAOの手足を動かすことはもちろんのこと、言葉で質問したことに対して、
NAOが言葉を認識して、回答するなどの動作を子供たちで指示をしていた。

こういう体験を子供たちが経験することによって、
これからの生活に不可欠な技術を楽しんで学ぶことができる。

また、ロボットを利用せずに、画面だけでプログラミングを学ぶことも可能だが、
画面だけだと「見る」や「聞く」という部分だけしか使わない為、達成感や感動が薄くなる。

一方、ロボットなどの「物」を利用する場合、
「見る」「聞く」「触る」「嗅ぐ」「味わう」といった五感を刺激される為、
画面だけで学ぶよりも多くの感覚を受けることができる。達成感や感動が濃くなる。

なお、コミュニケーションを取る必要の無い産業用ロボットは、物を掴む為に腕だけであったりする。
そのため、産業用ロボットに「人」を感じることがなく、話をすることは無いに等しい。
しかしながら、産業用ロボットは効率的に速く作業をすることができる為、
人に代わってより精密で多くの生産を生むことができる。

このように、人が利用する「目的」に合わせてロボットの形が決まる。

「自由」であることの課題


「自由」と聞けば、良い印象を受けることが多いが、その裏「自由=不自由」と考える人も多い。

自由といえば、自身の考えで主体的に動ける為、気分良く仕事や遊ぶことができるが、
主体的に動くことが苦手な人にとっては、不自由に感じる。

安齋氏は入社当初、周りにNAOの技術について知っている人がいなかった為、
習得したい技術を持っている企業や人に連絡を取り、自ら出向いて技術を学んだ。

見方によっては「大変そう」と思うかもしれないが、安齋氏は、
「自由にやらせてもらったから楽しんで技術を習得することができた。」という。

安齋氏のように主体的に動くことができる人だからこそ、入社してから1年半という短い期間で、
プログラミング授業などの新しい価値を世の中に提供することができる。

また、安齋氏は技術を学ぶ中で行き詰った時は「別の技術を学ぶようにしている」という。
行き詰った時に別の技術を学ぶことで、欲しかった答えが得られる。

例えば、NAOにダンスをさせるアプリケーションを創る中で行き詰った時、
NAOの実機を触ることで、関節の位置や動き、センサーの状態などを把握することができ、
把握した内容から行き詰った箇所の解決方法を閃く事が多い。

安齋氏はこれからロボットに関わる人には、「好きなことを突き詰めてほしい」という。
ロボットの業界はまだまだ未開拓な部分が多く苦労が多いが、好きなことであれば、
結果を見た時にやってよかったと感じることができ、自身の成長を実感できる。

未成熟の市場を広げる

まだまだ未成熟なロボット市場の中で、
ロボットと言えば、「アウトソーシングテクノロジー」と言われる程の知名度を持ち、
ロボット市場を獲得していくことや、NAOなどの既存のロボットを利用するだけではなく、
ロボットを自社開発して世の中に貢献していく。

その為には、コンサルティングファームと協業する必要があると考えている。

未成熟のロボット市場を広げる為に、各企業がロボットを開発するだけでは広げることは難しいが、
コンサルティングファームの問題解決力を利用すれば、自社の課題と市場の課題を解決する事ができる。

協業により未成熟の市場を広げるだけではなく、「アウトソーシングテクノロジー」が
ロボット市場を獲得する事も可能になる。

安齋氏は、ロボット市場を獲得するために「表現力」を重視して開発をしていくとのこと。
ロボットがより親しみや驚きを表現することができれば、利用者が増えて市場が広がる。

今後、見た目が同じロボットであっても、利用者に合わせて動きや発話を表現することで、
「個性」を持ったロボットが生まれて、アナタの横で寄り添う未来が近い。